春の養生法〜桃の花と五節句🌸〜
三寒四温の日々が続いていますが、皆さま体調は崩されていませんか?
3月3日は雛祭りの日でしたね。
実は、もともとひな祭りは女の子のお祭りではなく、「桃の節句、上巳(じょうし)の節句」という中国の邪気払い・健康長寿を願う伝統行事が奈良時代に宮中に伝わったものでした。
この伝統行事は「五節句」と呼ばれ、
*人日(じんじつ)…1月7日
*上巳(じょうし)…3月3日
*端午(たんご)…5月5日
*七夕(しちせき)…7月7日
*重陽(ちょうよう)…9月9日
の5つで、全て奇数月にあります。
中国では常に陰陽の中庸を考えますが、
奇数は陰陽でいうと、陽
偶数は陰を表します。
そして、
「陽が極まると、陰に転じる」
と考えられ、この五節句は
災厄を避けるために、邪気を払う日として神様を祭り、沐浴などで身を清め水辺で宴会をしました。
上巳の節句は、下記の縁起物を用意し、春遊踏青(しゅんゆうとうしゅう)といって、春の麗らかな日に男女でピクニックに行って、デートをし、後はそのまま消えてもOK🌷という日そうだったです(笑)
🌼ちらし寿司…なれ鮨からきています。(タンパク質が貴重だった時代に、魚中に米を詰めて塩漬けにし、発酵させたもの)
🌼蛤の汁物…はまぐりは貝合わせといって、夫婦の和合などを意味します。
🌼菱餅…上から、ピンク・白・緑。ピンクは赤で魔除け、桃の花を表す。白は菱の実が入っており、栄養価が高く、子孫繁栄。そして雪を表す。緑は、よもぎ。新芽、長寿、健康を表す。つまり、冬に積もった雪から新芽や花が芽吹く春の訪れを表しています。
🌼雛あられ…菱餅を違って揚げて、ピクニックに持って行けるようにした簡単なおやつ
🌼白酒…どぶろくの一種で、桃の花を浮かべて飲んでいた(桃花酒)。
いつの時代の人も理由をつけては、お酒を飲みたいのかも・・笑
そして注意したいのは、このときに採用されていた暦は、太陽太陰暦。現在の太陽暦とは違い、月の満ち欠けで1か月を定義する暦法です。
太陰暦の1か月は29日~30日と、太陽暦よりもやや早いサイクルで月が替わります。そのため、太陰暦は、この日付に1~1.5か月を足すと、太陽暦の感覚に近くなります。つまり、ひな祭りができた頃の3月3日は、今でいう4月初旬。
桃がちょうど満開になる頃です。
桃は中国では、「健康長寿・子孫繁栄・邪気払い・結婚・出産・別世界への通路」などの意味をもたらすとても特別な神聖な木だと言われています。
昔万病に効くとされる仙薬を待っていたという、中国の女仙・西王母(さいおうぼ)が持つ桃は3,000年に一度しか実をつけず、これを食べると不老不死になれると言われていました。漢の武帝が西王母に不老長寿の仙薬を貰いに行ったところ、
「あなたはまだまだ現世に情欲があり過ぎて、お子ちゃまだからあげない❗️」
と言って、代わりに7つ持っていた桃の実を5つ武帝にあげて
自分は2つムシャムシャ食べたそうです。(気前いいのか悪いのか・・笑)因みに、西王母は七夕で有名な織姫のお母さんですよ♫
日本でも、
古事記でイザナギが妻・イザナミを黄泉から連れ戻そうとして失敗、怒らせてしまい、かかる追手(鬼)から逃げる際に3つの桃の実を投げつけて撃退した、というお話があります。
この桃は、イザナギから感謝され、意富加牟豆美命(オオカムヅミノミコト)という神に昇格したそうです。
色んな神聖な意味を持つ桃。
漢方でも桃仁(とうにん)という生薬がありますが、これは桃の実の中に入っている硬い核の中にある、種を使います。
春に起こる陽気の上昇と共に、冬に溜めてしまった古い血(瘀血、おけつ)を除き、血の巡りを良くすると共に
腸を潤し、うんちの滑りをなめらかにします☺️
漢方の古典、『素問』金匱真言論には
東風生于春,病在肝,俞在頸項
故春氣者,病在頭。
故春善病鼽衄。
訳: 東風は春に生まれ、病は肝に起こりやすく、治療ポイントは、首やうなじ、頭部にある。
春は万物が生命を謳歌する息吹の季節、氣は高揚する(上に向かう)エネルギーを持ち、病は頭に起こりやすい。
春は多く鼻詰まり、鼻血を起こしやすい。
と書かれていますが、これは自然界の陽気の上昇で、のぼせや火照り、イライラ、蕁麻疹、花粉症、ものもらいなどが出てきやすい時期だという事です。冬に瘀血を溜めていた人は古い血を出し、解毒機関である肝に負担をかけないようにすると、首の筋違い、強張りや上記の症状が改善します。
また、冬に汗をかきすぎたり精を漏らしてしまった方は、熱を伴った症状が出ることがあります。質の高い眠りを取り、場合によっては身体の陰分を補う漢方が必要になってきます。
上記の症状がある方はご相談を。
皆さまも桃の花のパワーにぜひあやかりつつ、健康長寿を目指しましょう🌸☺️